――――僕は星の声が聞こえる。
誰かに説明するときは必ずそういう。でも本当は違う。
僕にだけ聞く能力があるのではない。
みんな、星の声に耳を傾けなくなってしまっただけなんだ。
星の声はどこにいても聞くことが出来る。
木や水や、大地はもちろんこの地球上すべてから。
いつだって彼らは人間たちのそばで囁いていた。
人間たちも星の声を聞いて生活していた。
聞くことが当たり前だった。
……だけどいつしか、人間たちは自分を別の立場の生き物だと
考えるようになった。
人間は星をコントロールする術を覚えた。星の声を聞かなくても、
星を自分の思い通りにできてしまう。
支配する力に魅入られ、優越的で快楽的な力に、人間たちは
蜜へ群がる虫のように飛び付いていった。
……星の声は、あまりに小さかった。
こうして人間は、星の声を聞かなくなってしまった――――